【採択事例】バリ取り機導入による省力化

【採択事例】バリ取り機導入による省力化

1. はじめに

製造業において、バリ取り作業は品質を左右する重要な工程でありながら、手作業に頼ることが多く、作業者への負担や品質のばらつきが課題となっています。特に受注増加時には、この工程がボトルネックとなり、納期遅延や機会損失につながるケースも少なくありません。

今回は、福岡県北九州市の板金加工業者が中小企業省力化投資補助金(カタログ型)を活用し、自動バリ取り機を導入して大幅な省力化を実現した事例をご紹介します。同業種の製造業者様にとって、申請の参考となるポイントを詳しく解説いたします。

2. 導入設備の概要

本事例で導入されたのは、金属板の切断加工に伴い発生するバリを自動で除去する装置

「メタルスライダー600」(型式:MS-600/MS600A)です。鍛圧・板金加工用バリ取り装置として、製造業の加工・生産工程において活用されています。

装置の特徴

作業者がワークをベルトコンベアに設置すると、装置内部で回転・揺動する研磨ツールが上部から2段階で研磨を行い、バリが除去されたワークがコンベア出口側から排出される仕組みです。

  • 対応幅:最大600mm
  • 処理方式:2段階自動研磨(粗研磨→仕上げ面取り)
  • 用途対応:通常バリ取り、スパッタ除去、酸化被膜・ノロ除去
  • 生産性:小物ワークの多数同時処理が可能

従来、作業者が手作業で時間をかけていたバリ取り工程が、ワークの設置と取り出しのみで完結するようになり、作業者は他の付加価値業務に時間を割けるようになります。これにより、工場全体の生産効率が向上します。

3. 事業者と補助金額

事業者概要

  • 所在地:福岡県北九州市
  • 事業内容:鉄鋼製品の製造(プレス、シャーリング、溶接加工)
  • 強み:「確かな品質」と「高い精度」で顧客からの信頼を獲得

この事業者は、長年培ってきたプレス・シャーリング・溶接の技術力を活かして鉄鋼製品を生産しており、機械加工部門の強化に注力してきました。時代の変化に対応し、高度化する顧客ニーズに応えるため、積極的な設備投資を行っている企業です。

補助金制度の概要

本補助金では、補助率1/2以下で最大1,500万円(賃上げ要件を満たした場合の上乗せ額を含む)の補助を受けることができます。本事例でも、この制度を活用して自動バリ取り機の導入を実現しました。

4. 採択のポイント

本事例が採択された主なポイントは以下の3つです。

ポイント①:課題の明確化

申請書では、現場が抱える具体的な課題を明示しました。

  • 手作業による作業負担の大きさ
  • 仕上がり品質のばらつき
  • 受注増加への対応困難

これらの課題は多くの製造業に共通するものであり、解決の必要性が明確に伝わる内容となっています。

ポイント②:定量的な効果の提示

導入前後の作業時間を比較し、省力化効果を具体的に数値化しました。年間の作業工数がどの程度削減されるかを明示することで、投資の妥当性を客観的に示しています。

審査においては、「どのような効果が期待できるか」を定量的に示すことが重要です。カタログ製品の場合、他社での導入実績を参考にしながら、自社での効果を現実的に試算できる点が大きなメリットとなります。

ポイント③:投資回収計画の明示

設備投資に対する回収期間を明示し、生産性向上による効果を試算しました。省人化による人件費への影響や、品質安定化による顧客満足度向上など、複合的な効果を整理して提示することで、投資の妥当性を示しています。

カタログ型補助金の優位性

カタログ型補助金の特徴は、すでに効果が実証されている製品から選択できる点にあります。製品の仕様や期待効果が明確であるため、申請書作成時に必要な情報が揃いやすく、初めて補助金申請に取り組む事業者にとっても比較的ハードルが低い制度設計となっています。

5. まとめ

今回の事例は、板金加工業における典型的な課題を、カタログ製品の導入により解決した実例です。特別な技術や複雑な仕組みではなく、現場の実態に即した課題設定と、具体的な解決策の提示が採択につながったと言えます。

同業種でも十分活用可能 バリ取り作業は多くの製造業で発生する共通課題です。プレス加工、シャーリング加工、レーザー加工など、金属加工を行う事業者であれば、同様の設備導入効果が期待できます。

申請のハードルは想像より低い カタログ型補助金は、事前に登録された製品から選ぶため、設備の効果や仕様が明確です。そのため、申請書作成時に必要な情報が揃いやすく、初めての補助金申請でも取り組みやすい制度となっています。

押さえるべき3つのポイント

  1. 自社の課題を具体的に整理する
  2. 導入効果を数値で示す
  3. 現実的な投資回収計画を立てる

最後に

本制度は、人手不足や生産性向上に悩む製造業にとって、非常に活用しやすい制度です。本事例を参考に、ぜひ自社での導入を検討してみてはいかがでしょうか。

補助金の申請期間や詳細な要件については、中小企業省力化投資補助金(カタログ型)の公式サイトをご確認ください。

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