はじめに

人手不足が深刻化する中、製造業の経営者の皆様は日々の生産効率向上に頭を悩ませているのではないでしょうか。特に中小製造業では、限られた人員で生産性を高めることが喫緊の課題となっています。

本記事では、中小企業省力化投資補助金を活用して加工機とトレーフィーダーを導入し、1日あたり4時間(240分)の省力化に成功した実例をご紹介します。実質的な投資額を抑えながら、大幅な作業時間削減を実現した事例から、補助金活用のポイントを学んでいきましょう。

導入設備の概要

設備構成

• 最新型加工機:3,500万円
• オーダーメイド型トレーフィーダー:1,000万円
• 総投資額:4,500万円

補助金活用後の実質負担額

中小企業省力化投資補助金を活用することで、補助金額2,000万円を受給。 実質負担額は2,500万円となり、通常価格から約44%のコスト削減を実現しています。

省力化の具体的な効果

①工程集約による段取り時間の大幅短縮(120分/日)

従来は複数の工程に分かれていた加工作業を、最新型加工機の導入により1台に集約。これにより、工程間の段取り替え作業が大幅に削減されました。

具体的な改善内容:

• 工程間の製品移動作業の削減
• 各工程での機械セッティング時間の削減
• 加工条件の再設定作業の効率化

結果として、1日あたり120分(2時間)の段取り時間短縮を達成しました。

➁トレーフィーダーによるストック管理の自動化(120分/日)

オーダーメイド設計のトレーフィーダー導入により、ストック数が大幅に増加。これまで作業員が頻繁に行っていたストッカーへの供給・排出作業が劇的に削減されました。

具体的な改善内容:

• ストック容量の増加により供給頻度が低下
• 自動供給システムによる人的作業の削減
• 排出作業の自動化による作業員負担の軽減

こちらも1日あたり120分(2時間)の作業時間削減を実現しています。

合計効果:1日4時間の省力化

上記2つの効果を合わせると、1日あたり240分(4時間)の省力化となります。

年間換算での効果:

• 営業日数を250日と仮定すると、年間で約1,000時間の作業時間削減
• 時給2,000円換算で年間約200万円のコスト削減効果

この事例から学ぶ補助金活用の3つのポイント

★ポイント1:人手による作業時間の変化を明確化

補助金申請において最も重要なのは、導入前後の「人手による作業時間」の変化を具体的に示すことです。

本事例では:

• 段取り時間:導入前→導入後(120分削減)
• 供給・排出作業:導入前→導入後(120分削減)

このように、定量的なデータで省力化効果を示すことが採択のカギとなります。

★ポイント2:オーダーメイド要素で独自性をアピール

トレーフィーダーはユーザー独自の設計によるオーダーメイド製品として導入されています。

既製品の単純購入ではなく、自社の生産ラインに最適化した設備投資であることをアピールすることで:

• 事業の独自性・創意工夫が評価される
• 他社との差別化要因となる
• より高い補助率獲得の可能性

★ポイント3:実質的な投資額を大幅削減

本事例の最大のメリットは、補助金を活用することで加工機を実質1,000万円値引きで購入できた点です。

投資回収期間の短縮:

• 補助金なし:4,500万円÷200万円/年=約22.5年
• 補助金活用:2,500万円÷200万円/年=約12.5年

投資回収期間が約10年短縮され、経営リスクを大幅に低減できます。

中小企業省力化投資補助金とは

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が省力化に資する設備投資を行う際に活用できる支援制度です。

主な特徴:

• 補助率:投資額の一定割合(類型により異なる)
• 補助上限額:企業規模や投資内容により設定
• 対象設備:生産性向上・省力化に資する機械設備等

詳細な要件や申請方法については、最新の公募要領をご確認ください。

導入を成功させるためのステップ

1. 現状の作業分析

まず、自社の生産工程における人手作業を洗い出し、時間を計測しましょう。

2. 省力化目標の設定

どの工程をどれだけ削減できるか、具体的な数値目標を設定します。

3. 設備選定と見積取得

自社のニーズに合った設備を選定し、複数社から見積を取得します。

4. 補助金申請書類の作成

省力化効果を定量的に示した事業計画書を作成します。

5. 導入後の効果測定

導入後は必ず効果測定を行い、PDCAサイクルを回しましょう。

まとめ

本事例では、中小企業省力化投資補助金を活用することで:

• 総投資額4,500万円→実質2,500万円に削減
• 1日4時間(年間1,000時間)の省力化を実現
• 工程集約とオーダーメイド設備で独自性を発揮

という成果を上げています。

人手不足が深刻化する中、省力化投資は待ったなしの経営課題です。補助金を賢く活用することで、投資リスクを抑えながら生産性向上を実現できます。

自社の生産工程を見直し、省力化の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。

※本記事の補助金情報は執筆時点のものです。最新の情報は公式サイトでご確認ください。 ※投資効果は事例企業の実績であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。